この度、『五島記念文化賞 美術新人賞』なる、青天の霹靂ではありますが、大変名誉ある賞をいただくことになりました

海外での制作活動が奨学金として授与されるため、2020年3月までに家族全員を引き連れて、海外へ渡ります

これまで、「絵画のように見える瞬間」を撮り続けてきました

絵でもなく、かといって写真であるかもわからないような、どちらともつかず離れずな狭間を縫って

絵にしろ写真にしろ、わたしはそれに携わる誰にも及ばないでしょうが、絵でもなく写真でもないような「不思議な魅力があるね」と言われる作品をお見せできればとおもいます

「こどもさん、たくさんいるのにまだ写真続けてたんだね」と言われることがあります

ですが、わたしにとって写真は、撮らなくなる 撮れなくなる といった類いのものではなくて、ただ単に、目の前にある「意図せずとも完璧なバランスで構成された空間」を持ち帰り収集するためのtoolなので、生きている限りそれは続いていくであろう、日常のルーティン作業です

2004年 TOKYO FMでの全米横断
2006年 NY
帰国後、父が脊髄小脳変性症を発症し、母が膵臓癌にて余命宣告を受け、すべての写真がお蔵入りになりました

個展は2014年 銀座奥野ビルGallery Camelliaでの一回のみ

賞に応募したこともありません

4人のこどもに恵まれましたが、長男は先天性の心疾患があり一昨年大手術を受けたばかりで、末の娘は何の因果か思いもよらない難病で左足が不自由です

ただ、どん底に突き落とされるたびに、どういうわけか、その「写真」がわたしを救ってくれました

今回、多くの人の目に触れることで、カメラの扱いもろくに知らない人間がと、批判もあるかもしれません

写真は目の前にあるものを写すものだとおもいますが、わたしはそれ以上に、目の前にないものを写そうとしているのかもしれません

そして、わたしの人生はこの先も、その「写真」に救われるのだとおもいます

この10年、15年傍らで見守ってくださった方々、そしてわたしのような名もない人間にチャンスを与えてくださった方々に心から感謝いたします

この先の10年、20年も宜しくお願いいたします

2019年1月30日  木坂美生